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ワクチンの仕組み
わたしたちの身の回りには、細菌やウイルスなどさまざまな微生物がいます。一部の微生物はヒトに感染症を引き起こす原因となります。このような微生物を「病原体」といいます。
ヒトのからだには、一度入ってきた病原体を覚えておいて、同じ病原体が、ふたたび入ってきた場合には素早く対応する仕組みがあります。この仕組みを「獲得免疫」といい、抗体やリンパ球がその役目を担っています。この仕組みのおかげで、同じ病原体に2回目に感染した場合には、発症しない(病気にならない)、万が一発症してしまっても、重症化しない、早く治ることが期待できます。
ワクチンはこの仕組みを利用しています。ワクチンは通常の感染(自然感染)でつくられる獲得免疫の仕組みを、実際にその病気を発症させないでわたしたちのからだにつくらせるのです。ワクチンであらかじめ対象となる病原体に対する免疫をつくっておいて、本当に病原体が入ってきたときには、すばやく退治できるように備えるのです。
ワクチンの種類
今、日本で使われているワクチンには弱毒生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド、mRNAワクチンがあります。
弱毒生ワクチン
病原体となる細菌やウイルスの毒性を弱めて病原性をなくしたものです。
例:麻しん(はしか)、風しん、ロタウイルス感染症、結核、おたふくかぜ など
不活化ワクチン
ウイルスや細菌の毒性を完全になくして、免疫を作るのに必要な成分だけをワクチンにしたものです。
例:インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス(HPV)、B型肝炎、ヒブ(Hib)感染症、ポリオ、百日咳、肺炎球菌肺炎など
トキソイド
細菌の毒素の病原性を完全になくしたものです。
例:破傷風、ジフテリア
mRNAワクチン
ウイルスのタンパクの設計図となるmRNAを接種すると、ヒトの体のなかでウイルスのタンパク質の一部が作られます。そのタンパク質に対する抗体が作られ、免疫を獲得します。
例:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
ワクチンで防げる感染症
(vaccine preventable diseases; VPD)
とてもたくさんの感染症が存在しますが、命に関わる病気や、妊娠中にお母さんが感染するとお腹の中の赤ちゃんに先天性の異常がおこる病気を対象に、ワクチンが開発されてきました。

ワクチンで防げる主な感染症(vaccine preventable diseases; VPD)
ロタウイルス感染症 (胃腸炎)/ ヒブ感染症 /肺炎球菌感染症 / ジフテリア / 破傷風(はしょうふう)/ 百日せき / ポリオ / 結核 / インフルエンザ / 新型コロナウイルス感染症 / 麻しん(はしか)/ 風しん / おたふくかぜ / 水痘(みずぼうそう)/ 日本脳炎 / ヒトパピローマウイルス感染症 / 髄膜炎菌感染症 / RSウイルス感染症 / A型肝炎 / B型肝炎
お母さんの抗体は赤ちゃんを感染症から守ります
お母さんの体の中でつくられた抗体は、胎盤を通して赤ちゃんに移行します。赤ちゃん自身の免疫が発達してくるのは1歳ごろからですので、生まれてから6ヶ月くらいまでは、赤ちゃんはお母さんからもらった抗体で感染症から守られているのです。お母さんが妊娠中に接種したワクチンでできた抗体も赤ちゃんに移行することがわかっています。

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