妊娠中に接種が推奨されるワクチン
妊娠中に
接種が推奨されるワクチン
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妊娠中に特に接種が推奨されるべきワクチンは、主に妊婦さん自身の重症化予防や赤ちゃんへの感染予防を目的としたものが多く、インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチン、百日咳含有ワクチン、RSウイルスワクチンなどが例として挙げられます。
特に赤ちゃんが重症化しやすい特定の感染症に対する予防戦略として、妊娠中に胎盤を通じて免疫をうつす(抗体移行)ことを目的とした妊娠中のワクチン接種が注目されています。
●インフルエンザ・新型コロナウイルス
妊娠中に感染するとどちらも重症化しやすいことがいわれています。これまでの大規模データから妊娠中のインフルエンザワクチンおよび新型コロナウイルスワクチンは安全に接種可能であると考えられています。流行期直前に接種することで、妊婦さんと赤ちゃんを感染から守ることができます。
これらのワクチンは妊婦さんの重症化予防が主な目的であるため、妊娠のどの時期でも接種を行うことが可能であり、流行期に入る前の速やかな接種が検討されます。接種した後に作られた免疫は胎盤を介して赤ちゃんに移行し、結果的に赤ちゃんも免疫を得ることが可能となります。
●百日咳
百日咳は特有なけいれん性の咳発作を特徴とする急性気道感染症で、特に生後半年未満で感染すると呼吸困難などを呈して重症化し、半数以上が入院治療を必要とします。我が国の百日咳含有ワクチンは生後2か月ごろより接種が可能ですが、特にワクチン未接種の月齢では母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が不十分だと早期に感染してしまう可能性もあります。
妊娠後期に百日咳含有ワクチンを接種すると、お母さんの身体の中で作られた抗体が胎盤を介して赤ちゃんに移行するため、赤ちゃんを百日咳の感染から守ることができると考えられています。そのため海外では妊娠後期にTdapという百日咳含有ワクチンの接種を推奨しているところが多いですが、日本ではTdapは認可されていませんので、代わりにDTaPという百日咳含有ワクチンを使用することになります。妊婦さんに対しては有益性投与(ワクチンが妊婦さんや赤ちゃんに与えるリスクよりも有益である場合の投与)になっており、今後の導入が期待されています。
●RSウイルス
RSウイルスは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%の原因となっており、生後1歳までに50%以上が感染するウィルス感染症です。症状は風邪症状から重篤な肺炎症状など様々ですが、特に生後半年未満で感染すると重症化しやすいとされています。日本では毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、その約4分の1が入院を必要としますが、いまだ有効な治療薬はありません。
百日咳と同様、お母さんからの免疫が十分であれば赤ちゃんを感染から守ることができると考えられており、赤ちゃんへの抗体移行を目的とした妊娠後期のRSウイルスワクチン(RSウイルス母子免疫ワクチン)接種が話題になっています。日本では2024年6月以降に使用可能となります。
  • ※ 不活化ワクチンが多いため免疫抑制剤を使用している方でも接種可能です。
  • ※ それぞれの感染経路やワクチンは以下の表にまとめてあります。
感染症名 感染経路 ワクチン ワクチンの種類 妊娠中接種の意義
インフルエンザ 飛沫/接触感染 インフルエンザワクチン 不活化ワクチン 主に母体重症化予防
新型コロナウイルス 飛沫/接触/エアロゾル感染 新型コロナウイルスワクチン 主にmRNAワクチン 主に母体重症化予防
百日咳 飛沫/接触感染 三種混合ワクチン(日本:DTaP/海外:Tdap) 不活化ワクチン 主に新生児重症化予防
RSウイルス 飛沫/接触感染
RSウィルス母子免疫ワクチン 不活化ワクチン 主に新生児重症化予防

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